育児ノイローゼ、ワンオペ育児、子供の虐待など、子育てに関する社会問題を報道などで耳にするようになりました。楽しいことも多いといわれる子育てですが、現実はそんなに甘くないようです。今回は、子育ての大変さからその対策を中心にお伝えします。
子育ては楽ではないことを理解する3つのポイント
子育てと聞くと、なんだか楽そうなイメージを抱きがちです。子供はかわいいだろうし、1人で育っていくものと勘違いするためでしょうか。しかし、実際には決して楽ではありません。その理由をみていきましょう。
乳幼児期の子供の特徴
乳幼児期の子供は、以下のようになってきています。まず、生まれてからすぐの乳児期の場合、昼夜関係なくだいたい2、3時間おきに母乳やミルクが必要となります。そのため、母親はその対応に追われるため長時間寝ることができなくなります。隙間時間に寝ればいいと思われがちですが、すぐに寝ない場合もありますし、オムツの交換や泣き出すなど、都度対応をする必要があるため、細切れの時間でもそれほど多く寝ることはできません。こうしたことから、この時期に産後うつや育児ノイローゼにかかってしまいがちとされているのです。
さらに、免疫力は、母親から受け継いだものが生後6ヶ月くらいでなくなってしまうため、その後から病気にかかりやすくなるという特徴もあります。保育園にあずけても他の人との接触により頻繁に病気にかかってしまうため、すぐに呼び出されてしまうというのも、このためです。
学童期の子供の特徴
学童期の子供の特徴としては、一人でできることが増えてきていても、まだまだ大人の手がかかる時期であるということです。さらに、個人で行動できる範囲が広くなってくるため、交友関係を親が把握しきれない、犯罪に巻き込まれるといった別の不安が出てくるという特徴があります。成長度合いも、個人差が大きくなってきているため、子供本人や親も悩むという事態に陥る場合もみられます。
乳幼児の死亡率
乳幼児は病気にかかりやすい、と先ほどお伝えしました。かかりやすいとともに、重症化しやすいという特徴があります。身体が未発達だからです。そのため、乳幼児の死亡率は、ユニセフの世界子供白書2017によりますと、日本は3%となっています。
参考:https://www.unicef.or.jp/sowc/pdf/01.pdf
https://www.unicef.or.jp/sowc/data.html
世界的にみて、とても低い確率となっていますが、それでも、安心できません。たとえば、特に生後数ヶ月の乳児は、寝返りができても元に戻ることができません。うつ伏せの状態のままになってしまうのです。首がすわっていない場合、苦しくても首を動かして呼吸を確保することができません。また、掛け布団が顔にかかったまま苦しくても呼吸するためにどかすこともできないのです。頭が重いため、ベビーベッドから転落するのは頭からのため、頭を強く打ってしまう事故もあります。病気だけでなく、ちょっとした事故で乳幼児の命は危険にさらされているのです。
子育ての大変さを理解するためのポイント
子供を育てるには、かなり大人の手が必要とされています。さらに、近年では子育てをとりまく環境は大きく変化し、さらに大変になってきているといわれています。この社会状況を理解するためには以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。
ワンオペ育児
ワンオペ育児とは、主に母親が1人で育児のすべてを担わなければならない状態をいいます。ワンオペは、ワンオペレーションの略です。人手不足の仕事に関して、ワンオペ状態などと社会問題になっていますが、その育児版とすると分かりやすいでしょう。しかも、仕事は労働時間が労働法関連の厳しい規制である程度限度が決まっているため、終わりがあるのに対して、育児は24時間終わりがないという違いがあります。
共働き
女性が仕事をしている場合、子育ての他に仕事への負担が増えるという問題が出てきます。保育園などに預けることができれば、その間は子供の面倒は保育園の保育士など他人に任せることができるため、安心して働けるというメリットはあります。しかし、病気にかかると他の子供にうつってしまうおそれがあるため、保育をしてもらうことはできません。引取に行かねばならず、仕事を休む必要が出てきてしまうのです。仕事への責任感や周囲からの目線なども相まって、子育てと仕事の両立に苦しむ女性も多くいます。
両親と離れて暮らしている
両親が近くに住んでいる場合、本当に苦しいときなど子供の世話を両親にしてもらうことが期待できます。しかし、離れて暮らしている場合、その助けを得ることもできません。今まで子育ての問題が社会問題にならなかったのは、3世代同居が当たり前だったため、誰かしらに子供の面倒をみてもらうことができたからだといわれています。核家族化が進む現代社会では、子育てを担う女性ばかりの負担が増えてきているのです。
病児と保育園・幼稚園
先程少々触れましたが、子供が病気にかかった場合、保育園や幼稚園は子供を引き取るように連絡してきます。病気の場合、預かってもらうことができなくなるのです。もちろん病児保育をしてもらう機関はありますが、事前に手続きをしている必要があります。そのため、仕事中に退社しなければなりません。リモートワークが可能な仕事ならば対応可能な場合もありますが、そういった仕事ばかりではないので、女性ばかりが大変な思いをすることも多々あるのです。
女性の社会進出
女性が社会進出するに伴い、男女関係なく仕事ができるようになりました。これはとてもよいことですが、責任も同じになったにも関わらず、女性が主体となって子育てをするという社会認識は変化していません。そのため、男性と同じ仕事に従事している場合、子育てのために早退などをすると、仕事を放棄した、やる気がないなど低評価に繋がってしまうリスクが多くみられます。特に、旦那である配偶者もフルタイムで子育てに協力的ではないいわゆるワンオペ育児の場合や、勤務している会社に育児のための福利厚生制度が整っていない場合、仕事と子育ての両立は大きな負担になってしまうのです。
子供の性格や性別によって子育ての大変さは異なる
さらに子供の性格や性別などによって子育ての大変さは変わってきます。一人で何でもしたいという子供の場合は、手間が軽くなります。反面、甘えたいという場合や身体が丈夫でない場合は、子育ての負担感が増してきます。
子供複数人の子育て
そして、子供が複数いる場合、さらに子育ては大変になります。一方は小学生、一方は保育園児でお迎えの場所が異なる、預かってもらえる時間が異なる、などという場合です。
子育ての大変さを軽減できるかもしれないツール
子育てには、大人の手がかかる大変な時期を乗り越えなければ両立は難しくなります。そのため、できるだけ子育ての大変さを軽減できそうな方法を用いるしかありません。
スマート家電
近年、自動的にさまざまなことをしてくれる家電が増えてきています。洗濯機も乾燥機能までついて静音設計ならば、夜中に洗濯をセットして眠ることができます。食器洗いについても、食器洗い乾燥機を使用すれば、食器を洗う時間を子供とのふれあいに充てることができるようになるでしょう。掃除がけも自動的にしてくれるお掃除ロボットを利用すれば、外出中に掃除が完了します。こうしてご自身でしなくてもよいことを増やしていくと、睡眠時間も増やしていくことができます。
家事代行
家事代行のサービスを利用する方法もあります。費用はかかりますが、自分でする必要がなくなります。そこまでお金をかけられないという場合は、ネットスーパーなどの宅配サービスを利用する方法もあります。お昼休みなどに注文しておき、夜間に配達してもらう、なども可能です。
ベビーシッター・ナニー
ワンオペ子育ては専業主婦でも、育児ノイローゼが問題になってしまうほど、かなりつらいものです。そのため、ベビーシッターのサービスなどを利用して乗り切ることも可能です。費用面などは、会社の福利厚生などで補助が出る場合もあります。
両親(義両親)に助けてもらう
遠方に住んでいても、一時的に両親に助けてもらうこともできます。どうしてもつらいときは来てもらって子育てを手伝ってもらうのもひとつの方法です。
まとめ
子育ては経験したことがないとなかなか理解できないですが、とても大変なものです。特に、子供が生まれると今までできていた家事が疎かになって悩んでしまう人も多いのですが、手間が倍以上になるので、できなくなるのは当たり前です。
周囲の状況に惑わされないよう、夫婦で乗り切っていくことが大切だと思われます。特に、子育ての大変さを放置していたら、妻が鬱になって子供に虐待していた、などと悲しい状況につながる危険性もあるほどです。そのため、家事も子育ても夫婦がうまく分担していくことが大切になります。