少子高齢化や労働力の減少により、多様な人材を活用することが日本企業には求められています。そこで注目を浴びているのが「ダイバーシティー」という経営マネジメント。

しかし、言葉は聞いたことがあっても具体的な内容まで理解している人は少ないと思います。本記事では、ダイバーシティーの考え方や、どのような人材が対象となっているのかを解説します。
 

ダイバーシティーとは

iStock-1152125129
近年、企業やビジネス界では「ダイバーシティー」という言葉をよく耳にしますが、具体的にどのような取り組みなのかを理解している人は少ないのではないでしょうか。まずはダイバーシティーの基本的なことから学びましょう。
 

ダイバーシティーとは?

ダイバーシティー=Diversityを日本語に直訳すると「多様性」という意味になります。近年のビジネスで耳にする「ダイバーシティー」とは「ダイバーシティ・マネジメント」の略であり、「企業において、個人の多様性や個性を認めてさまざまな人材を活用すること」を指します。「多様性」とは、代表的には「年齢」「性別」「国籍」「人種」「学歴」「宗教」「性自認」「障がい」「価値観」など多岐にわたります。

企業にとっては、幅広い人材を活用し、その多様性や柔軟性を活かして生産性を上げていくことができます。また、雇用される側(社員側)は、今まで働ける場所が限られていましたが、ダイバーシティーの取り組みによって働き先の選択肢が広がります。
 

日本のダイバーシティーの成り立ち

少子高齢化が進む日本では、労働力の確保のためにも多様な人材活用の必要性が謳われ、国が率先してダイバーシティーの取り組みを進めてきました。その中でも、女性の雇用推進は大きな軸のひとつ。

女性が男性と同じような条件で活躍できる企業が増えている上に、高齢者、障がい者、外国人などを雇用する企業も増えてきています。現在では、平成24年度から始まった経済産業省の「ダイバーシティ経営企業100選」でダイバーシティ経営によって企業価値向上を果たした企業を表彰しています。
 

海外でのダイバーシティーの成り立ち

もともと、ダイバーシティーの取り組みはアメリカから始まりました。女性や人種などのマイノリティが、平等な採用・雇用条件を求めて始まった取り組みなのです。ここから、競争優位性と差別化要素の源泉として企業がダイバーシティーマネジメントの取り組みを進める「米国型ダイバーシティ経営」が生まれました。

一方、ヨーロッパでは女性の雇用拡大や雇用形態・労働形態・ライフスタイルの多様性の容認に関する取り組みが主流でしたが、現在は競争優位性と差別化要素の源泉として取り組んでいる企業が増えています。

 

ダイバーシティを理解するために知っておきたいこと

iStock-482572829-1
ダイバーシティ推進が叫ばれている一方で、まだまだその必要性を理解していない人が多いのも事実です。ダイバーシティを進めて企業の利益を最大化するためには、まずはダイバーシティの対象となる層について理解することが重要です。

 

性別・年齢

ダイバーシティの取り組みにおいて最も大きな軸となるのが、性別・年齢の取り組みです。男性・女性を問わず、そして若年層や高齢者を問わずに人材を活用していくことが日本企業には求められているのです。例えば、キャリアアップを積んできた女性も、結婚・出産で仕事を辞めてしまうとそれまでのキャリアがあるにも関わらず活躍できる場がありませんでした。

しかし、ダイバーシティマネジメントを進めている企業では、そのような子育て中の女性でも、仕事と家事を両立して会社に貢献できるような環境を整えています。また、定年退職などで第一線から退いてしまったシニア層も、それまでの仕事の経験やスキルを活かすことにより企業にとって大きな労働力になるでしょう。

性別や年齢によって今までは働くことを諦めていた人材も、経験やアイデアを活かすことができる環境があれば、会社にとって事業の拡大や新しいユーザー層の獲得などのメリットが生まれるのです。具体的な取り組みとしては「再雇用制度」「育児時短勤務制度」「企業内保育園の設置」などが挙げられます。
 

障がい・身体的特徴

視覚、聴覚、四肢など、身体的な障がいを抱えている人も多くいます。ダイバーシティの取り組みでは、そのような障がいを含む身体的特徴を持った人材でも活躍できる労働環境を整備しています。

より多くの人が使いやすい商品やサービスを提供するためには、障がいを持った人の意見は商品開発・サービス開発に大変役立ちます。NTT西日本およびグループ各社では、2019年6月の時点で1,000名以上の障がい者を雇用し、各社員に適した業務を割り当てて能力を最大限に活かせる環境を整えています。
 

国籍・育った環境や文化・宗教

日本企業が続々と海外進出している背景から、外国籍人材の確保も企業にとっては非常に有益です。また、オリンピック開催などを控えて外国人の旅行客も増えている現状では、育った環境の違う外国人を積極的に雇用してその知識や経験を活かした事業経営が必要となります。

また、労働力が不足している日本の現状では、外国籍人材の労働力は欠かせないものとなっており、コンビニやスーパーなどの接客業から外食チェーン店の飲食業、技術職から通訳まで幅広い業界や業務において、日本の貴重な労働資源となっています。育った環境や宗教が異なることで、扱える食べ物が決まっていたりアルコール除菌ができなかったりするなどの制限がありますが、企業側が工夫をすることで乗り越えられることばかりなので、どの企業も独自で取り組みを進めています。
 

LGBTQ

性自認や性的志向もさまざまであり、それによって活躍できる場所が制限されてしまっていた人たちもいました。性自認・性的志向の違いによって、主にLGBTQに分けられます。

  • L(レズビアン)・・・性自認:女性、性的志向:同性(女性)
  • G(ゲイ)・・・性自認:男性:性的志向:同性(男性)
  • B(バイセクシャル)・・・性的志向:男性・女性どちらも
  • T(トランスジェンダー)・・・身体的な性別と、性自認が一致しない(身体は男性で性自認は女性、もしくは身体は女性で性自認は男性)
  • Q(クエスチョニング)・・・自分の性別が分からない、決まっていない、(意図的に)決めていない

2018年に電通が実施した調査では「LGBT層に該当する人は8.9%」という結果が明らかになったほど、日本国内ではLGBT(Q)の人が多く存在しています。しかし、そのうちのほとんどはその事実を隠して生活しており、「結婚はまだ?」などの声やトイレなどの職場環境に悩まされています。

このようなセクシャルマイノリティの人たちが安心して働ける職場環境を整え、他の社員がLGBTQについての知識を持って接するような取り組みが日本企業でも進んでいます。
 

ワークライフバランス

内閣府が推進している働き方改革の一環であるワークライフバランス。仕事もプライベート(生活)も充実させて調和させることにより、活力を高めたり人口減少・少子化を防いだりすることを目的とした取り組みです。

例えば、子育て中の女性が家庭と仕事を両立させるために柔軟な働き方をしたり、業務時間内ではできない資格やスキルの勉強をプライベートの時間でしたりすることで、仕事に活かしたり集中して業務をしたりすることができます。ワークライフバランスを実現させるための具体的な制度として「育児休業・介護休業制度」「フレックス制や時短勤務」「リモートワーク」などを各企業が取り組んでいます。

 

まとめ

iStock-1031266802
多様性が受け入れられている現代では、働く環境においても多様性が求められています。しかし、実際には不満があっても言えなかったり、お互いに話題にしなかったりするなど、繊細な問題でもありますよね。

扱いが繊細な問題であるからこそ、お互いの信頼関係があることでカムアウトやアウティングができる話題なので、今の労働環境でそれが保たれていないのであればその人の能力を最大限に活かしきれていないと言えるのではないでしょうか。ダイバーシティーが進められている会社はたくさんあるので、転職なども視野に入れながら自分が働きやすい環境を見つけてくださいね。