「働き方改革」が推進されている中で、よく耳にするのが「ワーク・ライフ・バランス」というワードです。すでにワークライフバランスの取り組みが進んでいる企業も多いですが、実際はどのようなものなのか詳しく分かっていない方も多いのではないでしょうか。

働く女性やワーキングマザーにとっては、ワークライフバランスはこれからの働き方を考えるうえでも非常に重要な概念です。今回は「ワークライフバランスとは何か」についてわかりやすく解説します!

 

ワークライフバランスとは?内閣府の見解

iStock-872214712
「仕事と生活の調和 推進サイト」から、内閣府の見解をわかりやすくまとめました。

参考サイト:http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/index.html

内閣府が提唱している「ワークライフバランス」を簡単に表すと「仕事と生活の調和」とされています。仕事で経済的に自立することだけでなく、家庭や近隣との付き合いなども、人間の生活には欠かせないものであり、人生を充実させる要素です。

しかし近年、非正規雇用が増えて経済的に自立できなかったり、仕事に追われて心身が病んだり育児・介護の両立に悩んだりする人が増えています。このような不安要因から活力の低下や少子化・人口減少に繋がっていると考え、それを解決するために仕事と生活の調和を実現して豊かな社会を作ることを目標としているのです。

 

ワークライフバランス憲章

2007(平成19)年12月に策定された「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」には、ワークライフバランスの定義や目指すべき社会像などが細かく記載されています。

憲章によると、現実の社会では仕事と生活の間で問題を抱えている人が多く、仕事と生活の両立が困難な社会になっているとあります。その原因として、ワークライフバランス憲章では以下の要素を挙げています。

  • 正社員以外の労働者が大幅に増加
  • 正社員の労働時間は高止まりしたまま
  • 働き方の見直しに取り組むことが難しい企業も存在する
  • 共働き世帯が増加しているが、働き方や子育て支援が対応しきれていない

このような現実社会が人口減少にまで繋がっているとし、個々人の生き方や、子育て期や中高年期などの各段階において、多様な働き方を実現する必要が出てきました。

そこで、仕事と生活の調和を実現するため、企業は「コスト」ではなく「明日への投資」と考え、官民一体となって取り組んでいく必要があると説いています。「仕事と生活の調和が実現した社会の姿」として、憲章ではこのような社会を目指すことを掲げています。

  • 就労による経済的自立が可能な社会
  • 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
  • 多様な働き方・生き方が選択できる社会

このような社会を実現させるために、国や地方公共団体が支援するだけでなく、雇用主である企業、そして雇用者の従業員、ひいては国民ひとりひとりが考えたり取り組んだりして、社会全体の運動として広げる必要があるとしています。

 

ワークライフバランスを追求するメリット

iStock-1067418102-1
ワーク・ライフ・バランスを推進していくことで、雇用主となる企業側にとっても、雇用者となる従業員側にとってもメリットが生まれます。

【企業側のメリット】

  • 業務効率化による生産性の向上
  • 出産や介護などで優秀な人材が辞めてしまうことを防げる
  • 従業員が心身ともに健康で働けるため、退職や休職(うつ病など)を防げる
  • 長時間労働の是正や短時間勤務などの導入により人件費を削減できる
  • 従業員満足度が向上するためモチベーションがアップする
  • ポジティブな印象を与えるため企業イメージが向上する

【従業員側のメリット】

  • 子育てや介護などの事情があっても仕事を続けることができる
  • プライベートの時間を充実させることができる
  • モチベーションアップ
  • 自主学習や資格取得などのスキルアップのための時間を確保できる
  • 在宅勤務、短時間勤務、事業所内託児所など自分に合った働き方ができる

このように、ワークライフバランスを追求することで企業も従業員も恩恵を受けることができるため、Win-Winの関係を構築することができます。

 

ワークライフバランスに関連する日本の取り組み

男女均等推進

厚生労働省が策定した「男女雇用機会均等法」は、1986(昭和61)年に施行されました。この法律では、募集・採用・配置・昇進・福利厚生・定年・退職・解雇などで性別を問わずに均等に扱うことを目的としています。

改正を経て、育児休業や介護休業などの労働者の権利や、妊娠・出産・育児休業によるハラスメントの防止などが加えられて、男女平等に働ける環境を整えることを法律によって守っています。

自治体によって名称は異なりますが「男女平等推進センター」「男女共同参画センター」などを設置している自治体が増えているので、困ったことがあったら気軽に相談することができるようになっています。

また、男女均等が推進されていく中で、職業の呼称も変化してきました。例えば、女性を「看護婦」、男性を「看護師」と区別していましたが、2002年3月から男女問わず「看護師」という名称で統一されることになりました。

さらに、1998年(平成10年)には日本航空で「スチュワーデス」という呼称が廃止されるなど、現在では「キャビンアテンダント」「客室乗務員」という呼称が正式となっています。

 

ファミリー・フレンドリー

「ファミリーフレンドリー」は厚生労働省や地方自治体が認定・推奨している、育児や介護などと仕事を両立できる制度がある企業を指します。

家庭生活と仕事を両立できる制度を持っているだけでなく実際に利用されていることが条件で、1999(平成11)年から「ファミリー・フレンドリー企業表彰」として優良企業が表彰され、2007(平成19)年からは「均等・両立推進企業表彰(ファミリー・フレンドリー企業部門)」として実施されています。

 

働き方改革

政府が推進している「働き方改革」も、ワークライフバランスの実現には不可欠なものです。

厚生労働省の定義によると、働き方改革とは多様で柔軟な働き方を自分で選択できるようにするための改革です。働き方改革実現のため、厚労省では以下のような取り組みを行っています

  • 賃金の引き上げ
  • 長時間労働の是正
  • 正規・非正規に関わらない公正な待遇
  • テレワークや副業・兼業の環境整備
  • 再就職支援
  • ダイバーシティ推進
  • ハラスメント防止

 

外国におけるワークライフバランスの取り組みや考え方

iStock-506175664
所変われば品変わるというように、日本と外国ではワークライフバランスの事情も異なります。ファミリーフレンドリーが根付いているヨーロッパ諸国や、先進国アメリカはワークライフバランスも充実しているようです。

その中でも、ワークライフバランス先進国と言われているのがスウェーデン。同一労働・同一賃金が徹底されており、在宅勤務や短時間勤務を導入している企業も多いです。労働組合の力が強いため、国が干渉しなくても企業が独自でこのような体制を進めています。

 

ワークライフインテグレーションとの違い

iStock-1094812112
ワークライフバランスと混同されがちなのが「ワークライフインテグレーション」。これは、慶応義塾大学の高橋俊介教授や経済同友会によって提唱された考え方です。

ワークライフバランスは「仕事」と「生活」という人生の要素を両立させることですが、ラークワイフインテグレーションは「仕事」と「生活」の境界線を払いのけて統合して考えます。

仕事も家庭生活もどちらも充実させることで人生が豊かになるという考え方なので、ワークライフバランスの発展形とも言えるでしょう。

 

まとめ

ワークライフバランスを進めることで、働く側も雇用する側もメリットがあり、豊かな社会を築けるようになるはずです。政府の支援も充実しているので、制度を導入したい企業や、何か困ったことがある人は気軽に相談してみてくださいね。