産休と育休の違い

子供を持つことを考えたとき、働く女性にとって仕事は大きな悩みの1つなのではないでしょうか。

今回はよく聞く「産休」と「育休」について詳しく解説いたします。この2つの言葉は意味も制度も異なるものですので、しっかりと把握しておきましょう。
 

産休(産前・産後休暇)とは

まず出産にまつわる休みについては、労働基準法第64条の2から、第68条に定められており、産前産後休業については第65条にこう記されています。

第六十五条 使用者は,6週間(多胎妊娠の場合にあつては,14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては,その者を就業させてはならない。
2 使用者は,産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし,産後6週間を経過した女性が請求した場合において,その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは,差し支えない。
3 使用者は,妊娠中の女性が請求した場合においては,他の軽易な業務に転換させなければならない。

おさえたいポイントは大きく2点あります。

1つ目が、「産前」と「産後」に取れる休みの期間についてです。産前、つまり出産前は自然分娩の予定日を基準としての6週間前から取得することが可能です。また、産後については、産後8週間までの期間、取得可能です。ただし、医師が認めた場合は6週間経過後から働くことは可能となります。

2つ目に気をつけておきたいのは、産前の休みについては労働者が「請求した場合には」休業させなくてはなりませんが、産後は労働者から「請求しなくても強制的に休み」となり、原則働かせることはできないという点です。また、産後6週間を過ぎた労働者から請求があり、なおかつ医者から支障なしと認められた場合は働かせることができる、というのが少しややこしい点ですのでおさえておきましょう。

ちなみに、労働基準法における「出産」というのは妊娠4ヶ月以上の分娩のことを指し、1ヶ月を28日と数えるため、85日以上の場合であれば中絶や死産の場合も出産とみなすことも覚えておくと良いでしょう。

また、労働基準法に給料に関する定めはありません。法律上の決まりはないため、無給となるのが一般的ですが、会社の就業規則を確認しておくとよいでしょう。また、出産の際には、健康保険の方から出産にまつわるお金が出るため(出産育児一時金、出産手当金など)、そちらもあわせて確認してみてください。

産前
・休業期間は自然分娩の予定日6週間前から出産まで
・労働者から請求があった場合に休みを与えなくてはならない
・給料に関する定めは法律にはなく、無給であることが多い

産後
・休業期間は産後8週間まで
・労働者からの請求がなくとも休みを与えなくてはならない
・出産一時金、出産手当金などが健康保険組合から出る

正社員、パート・アルバイトと雇用形態が変わっても扱いは同じです。また、休職中の従業員についても産前、産後ともに同様の扱いをしなくてはならないという決まりがあることも覚えておくと良いでしょう。
 

育休とは

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育休とは、育児・介護休業法第5条で定められており、産後休業が終わったあと、つまり子供を生んでから8週間(56日)が終わってから、子供が1歳になるまでの間、労働者から申し出があった場合に休みを与えなくてはならないというものです。

つまり出産ののち、8週間は産後休業となり、その後子供が1歳になるまでは育児休業を取得することができるのです。

育休を希望する場合は、休業の開始予定日と終了予定日を決めて、休業を開始する予定日の1ヶ月前までに、会社へ「育児休業申出書」を提出することになります。

パート・アルバイト・契約社員などの雇用形態の場合は、以下の条件を満たす場合に育児休業の申し出をすることができます。

①同一の事業主に引き続き1年以上雇用されている
②子どもの1歳の誕生日以降も引き続き雇用されることが見込まれる
③子どもの2歳の誕生日の前々日までに、労働契約の期間が満了しており、かつ、契約が更新されないことが明らかでない

引用:子育てをしながら働き続けたい パート社員・派遣社員・契約社員 あなたも取れる!産休&育休

①の条件は単純に理解できますが、②の場合は少しややこしいので例を出してみましょう。

パート・アルバイト・契約社員などの場合は有期雇用契約ですので、その雇用契約がいつまでか、というのが一つのポイントになります。

-育児休業の申し出時点で、契約期間の終了日が、子供が1歳になる日よりあとの場合
-労働契約が自動更新であると明示されており、契約更新された場合は契約終了日が子供の1歳になる日よりあとになる場合

したがって、育児休業期間中に労働契約期間が満了となり、更新されないことが明らかな場合は、育児休業は適用されないため、確認が必要です。

裏返して、育児休業を取得できない人を見てみるとわかりやすいので、自分が以下に該当するかどうか、改めて確認してみてください。

①雇用された期間が1年未満
②1年以内に雇用関係が終了する
③週の所定労働日数が2日以下
※日雇いで働く人は育児休業を取得できません

また、育児休業については本来は子供が1歳になるまで、という決まりですが、以下のような特定の場合に限り1歳6ヶ月になるまで延長することができます。

①保育所への入所を希望しているが、空きがなくて入所できない場合
②子供が1歳になって以降、療育する予定の者が病気や怪我、もしくは死亡してしまい療育できない場合
※この期間延長については、パート・アルバイト・契約社員についても同様の扱いをしなくてはなりません。
 

産休が取れる「母親の」雇用形態

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正社員ではなくパートや契約社員で働いていても、産休、および育休は取得できるのか、機に鳴る方も多いのではないでしょうか。実際は、産休と育休で少し答えが変わってきます。

先述したとおり、産前産後休業はすべての雇用形態の方に認められた権利ですので、正社員、契約社員、パート・アルバイトの方すべてが取得することができます。

一方で育児休業は先述した以下に該当する方は取得することができません。

①雇用された期間が1年未満の場合
②1年以内に雇用関係が終了する場合
③週の所定労働日数が2日以下の場合
④日雇い契約の場合
 

産休に関連するお金の制度

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では最後に、産休・育休中にもらえるお金についてです。まず、ご自身が勤務先の社会保険、および雇用保険に入っているかどうかを確認してください。

健康保険に加入している場合は、以下の手当が適用される可能性があります。
 

社会保険料免除

産前産後休業、および育児休業の開始日から終了日まで、社会保険料の徴収を免除とすることができます。
 

出産手当金

妊娠4ヶ月以上での出産(死産、流産、人工中絶なども含む)の場合、出産後8週間(56日目)までの期間、その休んだ期間分のお金をもらうことができます。1日あたりの支給額は標準報酬月額÷30の額の3分の2です。
 

出産育児一時金・家族出産育児一時金

1人の子供に対して42万円の一時金が受け取ることのできる制度です。共働きの場合、父親側(夫側)の健康保険からでは申請できず、妻の健康保険で手続きしなくてはならない点に注意してください。
 

まとめ

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世間では少しずつ出産や育児に対する理解を広めようという動きも出てきていますが、いまだに解消されていない不安もたくさんあるでしょう。不安があると気分も落ち込んでしまいますので、不安を少しでも解消できるよう、制度や手当金についてよく知り、活用してくださいね。