会社に所属する人や就活・転職活動をしている人なら、「創業と設立の違いって?」と疑問を抱いたことがあるでしょう。この2つの単語は、似ているようでそれぞれ異なった意味をもっています。意味の違いを理解しておくと、いざというときに役立つこと間違いなしです!
今回の記事では、「創業」と「設立」の違いに注目して、その他の間違いやすい言葉の意味や使い方まで徹底公開します。
言葉としての違い
まずはじめに、「創業」と「設立」の言葉の意味の違いを説明します。
「創業」とは
創業とは、
「新しく事業を始めること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P672)
創業は、辞書を引くと上記のような意味であると明記されています。一般的に創業は、事業を始めた日を指します。「事業=会社を立ち上げる」といったイメージをもつ人が多いかと思いますが、事業をはじめるときは「絶対会社を設立しなければいけない」というわけではないのです。実際、法人を設立する前から事業をはじめている会社は珍しくありません。
「創業」の意味を押さえるときに同時にチェックしておきたい言葉に、「創立」があります。
「創立」とは、
「学校や会社などをはじめてつくりもうけること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P678)
上記を見ると、「創業」「創立」は、非常によく似た意味ですよね。どちらも「事業を始めた日」を指すのは同じですが、厳密には次のような違いがあります。
- 創業:個人または組織や機関を設けて事業を始める
- 創立:組織や機関をはじめて設けて事業を始める
つまり、個人で事業を始めた場合は「創業」となり、組織や機関として事業を始めた場合は、「創立」または「創業」どちらを銘打っていても間違いではないということです。「創業」「創立」の違いは、2つの意味を見比べると理解できるとはいえ、よく似ているため混同しやすいですね。
「設立」とは
設立とは、
「会社・学校・病院などを新しくつくること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P652)
設立は、辞書を引くと上記のような意味です。設立とは、会社組織や機関として管轄法務局に登記申請し、法人を設立して事業を始めた時期を指します。つまり、「設立〇年」と書かれている場合は「株式会社を〇年に立ち上げた」「一般社団法人を〇年に設立した」ということです。
実際に創業と設立が違う会社はあるの?
先述したように、
- 創業:事業を始めた日
- 設立:法人を設立して事業を始めた時期
といった意味があるため、創業と設立が違う会社は存在します。
大手企業のパナソニック株式会社は、創業は1918年はですが、設立は1935年です。また、ゲームソフトメーカーとして有名な株式会社カプコンは、創業1983年、設立1979年で、会社によっては創業より設立を先にしているところもあります。創業と設立は定義が違うため、違う時期になることは珍しいことではないのです。
創業と設立以外に間違えやすい言葉とその意味、使い方
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ここでは、創業と設立以外に間違えやすい言葉とその意味を説明します。使い方も合わせて紹介するので、「意味がわからない」と悩んでいる人はチェックしてみてください!
創設
創設とは、
「ある施設や仕組みをはじめてつくること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P675)
創設は、初めて会社を作り出したり、学校や団体を立ち上げたりする際に「おもちゃの会社を創立する」「〇〇会を創立する」というように使われます。また、会社で新しい事業部や子会社を立ち上げる際に「〇〇事業部を創設した」という使い方もあります。
開業
開業とは、
「店や事業を始めること。」「営業していること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P183)
「開業」は、新しく事業を始めるときに使われる場合が多いです。その意味から、「来年からカフェを開業する」「医院を開業する」というように使います。また、「営業していること」という意味では、「地元でパン屋を開業している」「開業医」のような使い方もできます。
発足
発足とは、
「物ごとが始まること。団体などが作られて、活動が始まること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P1094)
発足は、会社や事業が始まった場合には使いません。意味の通り、団体やグループが設立される際や、設立したことそのものを指す場合に使います。「団体を発足する」「〇〇グループが発足してから5年経過した」といった使い方をします。
開設
開設とは、
「新しくつくって、そこを使い始めること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P186)
開設は、施設やシステムなどを新しくつくって使い始める際に使われます。「図書館の開設」「ウェブサイトを開設する」と使います。
起業
起業とは、
「社会にかかわる仕事を新しく始めること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P273)
起業は、新しく事業を起こすという意味で使われることが多く、創業と同じ使い方をする場面もあります。同様の意味なので、「起業セミナー」「創業セミナー」は言い方が違うだけで概ね違いはないと考えられます。使い方の一般例は、「会社を起業する」「起業家」です。
創始者
創始者とは、
「はじめてつくった人。はじめた人。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P674)
創始者は会社や学校をはじめてつくった人物を指す言葉です。「この会社の創始者は、〇〇である」「高校の創始者」というような使い方をされます。
事始め
事始めとは、
「新しく物ごとをはじめること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P431)
事始めは上記のような意味で、「今日は仕事の事始めにぴったりなタイミングだ」というような使い方をします。使われるシーンはなかなか見かけることはないため、使うときは使い方を今一度確認するようにしましょう。
旗揚げ
旗揚げとは、
「兵を集めてたたかいを起こすこと。」「新しく物ごとを始めること。」
引用元:金田一京助 編(1965年)『例解学習国語辞典第十版』 株式会社小学館(P949)
旗揚げは、上記の通り2つの意味があり、現代では「新しく物ごとを始めること」の意味で使われる場合が多いです。「会社を旗揚げする」「新しい組織を旗揚げする」というように使います。仕事以外のシーンでは、「今日は〇〇の旗揚げ公演だ」と、演劇一座の最初の公演の際に使われます。
まとめ
「創業」と「設立」の意味や使い方は混同されがちです。しかし、就活や転職、ビジネスシーンで間違った使い方をしてしまうと、印象ダウンしたり、取引に影響したりする可能性があります。他にも間違えやすい言葉がたくさんあるため、正しい使い方ができるように今一度違いを確認しておいてください。