志望動機を質問される理由

履歴書にも志望動機は書いてあるはずなのに、なぜ毎度聞かれるの?と思っている方も多いでしょう。面接ではほとんど必ずと言っていいほど聞かれる志望動機、そこにはどういう意味が込められているのか、考えてみましょう。

結論から先にお伝えすると、「この人は長くうちの会社で働いてくれるのか?」を見極めるためです。

人事の人たちは何を目的として面接をしているのかというと、いい人材を確保するためですよね。いい人材というのは、スキルと意欲が高く、長く勤めてくれる人のことです。そういう人を面接で見分けるために、さまざまな質問をします。

そういう観点で見ると、志望動機を尋ねる理由は意欲を確かめ、長く勤めてくれるかどうかを確認するため、ということがわかるのではないでしょうか。

実際私が人材系企業で働いていた際も、企業の人事部の方からはすぐに辞める人ではなく長く勤められる人がいい、スキルが少々足りなくても長く働いてくれる人がいいという話を何度も聞いてきました。企業側は人材の確保が難しい今、スキルよりも長く勤められる人を求めているのです。

自分は貴社で長く勤めます、ということをきちんと説得力をもって伝えられるように、という意識で志望動機を考えていきましょう。

 

志望動機について回答するときに、押さえるべきポイント3つ

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これまでの経歴

志望動機について考えるときは、自分の履歴書と職務経歴書にもテコ入れする必要があります。応募書類すべてを見て、一貫性があるか、これを提出して相手に長く働ける戦力に鳴るということを伝えられそうか、を考えてみましょう。

途中で業種や職種を変更していたとしても、そこにきちんと理由があって今に続いているのであればそこをきちんと伝えられればよいのです。

たとえば、私の知り合いには、新卒で大手銀行に入行したものの、同期や上司のなれ合いに辟易とし、一度会社を辞めて派遣社員となりました。当時はまだ売り手市場とは言えるものではなく、新卒で入った会社を1年も立たずに辞めてしまった彼女を、正社員として迎えてくれる会社はありませんでした。

そんな就職活動にも疲れ、派遣社員として小さな広告代理店でアシスタントとして働いていた彼女ですが、その後、熱を入れて就職活動を行った結果、正社員として大手IT企業の系列のオンライン証券に入ることができました。

彼女は志望動機を伝える際、派遣社員として働いていた際にオンライン広告を扱っており、それからオンライン証券の可能性を感じた、という話をしたそうです。

「大手銀行で勤めた経験と広告代理店でインターネット広告を扱った経験から、オンラインの可能性を感じ、今後はインターネットと金融を使った仕事をしたい」と話せば、それなりに納得できるものになるのではないでしょうか。

多くの人にとって、経歴は必ずしも誇らしいものではないでしょう。彼女にとっても、新卒で大手に入ったにもかかわらずすぐにマイナスの理由で辞めてしまっており、すべてが輝かしい経歴とは言えないでしょう。それでも、その経験をもとに何を得て、どう考え、どういう未来を描いているのかをしっかり線でつないで伝えられることが重要なのです。
 

経歴を踏まえて、なぜこの会社なのか

志望動機を考える際には、まずは自分の人生の中でどこがゴールなのか、どうなるのが理想なのかを明確にしましょう。そして、その目的にたどり着くために、貴社に入ってこういうふうに働きたい、というふうに起承転結がまとまるように意識して考えていきます。

たとえば先程の友人の場合は、インターネットと金融というものに可能性を感じ、そこに関わり続けたいと思ったというのが転職動機ですから、最初に銀行勤務を経験した上で広告代理店で勤めなければ得られなかった動機ですよね。

そして、その延長線上にオンライン証券で働く、というものがあったから入社したい、ここで働きたいんです、というのが動機なら、「大手銀行で勤めた経験と広告代理店でインターネット広告を扱った経験から、オンラインの可能性を感じ、今後はインターネットと金融を使った仕事をしたい。だからオンライン証券を扱う御社で働きたい」といえば、相手を納得させられそうですよね。
 

今後どのようにこの会社に貢献できるか

最後に、自分はこの会社でどういうふうに働き、どういう活躍ができるか、どう貢献できるかを伝えるフェーズです。経歴と自分の将来像を結びつけることができれば、あとはその未来像を実現するための努力と、会社への貢献が重なるように考えるだけです。

たとえば先程の友人であれば、インターネットと金融を使った仕事をしたい、という思いがあり、これまでそのインターネットと金融、それぞれの畑で経験を積んでいますから、具体的な経験をもとに、自分ならこういうことができる、ということを伝えましょう。

経歴や履歴書、そして自分の将来像、能力やスキルなどすべてが一貫しているという印象を与えられれば、相手を納得させられる良い志望動機になります。
 

良い回答例3つ

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<中小企業でのインターネット広告の営業職から、中堅企業の新しい立ち上げメディアでインターネットのメディアプランナー(広告営業)へ転職する場合>

現在は○○でインターネット広告の営業を行っておりますが、貴社の新規メディアでの営業職に興味を持ちました。現在の仕事では、決められた営業目標を達成する喜びはあるものの、新規開拓をしたり、新しい目標に挑戦したりすることはほとんどありません。現在の仕事をしながら、いつかは新しいことをしてみたい、成長フェーズにあるメディアで働いてみたいと思っていました。何事にも率先して動く行動力と、営業先のニーズを汲み取り適切な提案をする能力が強みですので、イチから作り上げるという貴社での仕事に魅力を感じ、ご応募差し上げました。

営業職の喜びはありつつも、非常に前向きな理由で転職してきたことが伝わる志望動機の例です。自分のスキルを伝え、それを新しい会社でどう活かせそうか、何に魅力を感じて応募したのかを最後に簡潔にまとめています。

<人材・IT関連企業での営業職から、同じくIT関連企業での人事へ転職する場合>

貴社を志望した理由は、人材育成に興味を持ち、組織づくりをしてみたいと感じたからです。現在は4名の部下を率いながら、営業リーダーとして働いており、部下の育成に力を入れてきました。その過程で、小さいながらも組織としてのチーム作りを意識するようになり、やりがいを感じるようになり、人事部で働いてみたいという気持ちが生まれました。もし貴社で働くことができたときには、チームマネジメントのスキルとこれまで人材企業の営業として吸収してきた人材育成や採用にまつわる知識をいかして働きたいです。

自分がどうして人事をやってみたいと思ったのかを実体験に絡めて説明し、自分がどう貢献できるのかもうまくまとめて伝えています。

<Rubyエンジニアから、IT関連企業でのアプリ開発エンジニアへ転職する場合>

貴社の「運送×AI」を活用したビジネスモデルに惹かれ、志望いたしました。今後、インターネットやAIの発達により、さらに運送業界は需要が増していくと見込まれる市場です。その中でAIを活用した運送ビジネスを拡大することにより、運送業界の人手不足解消およびユーザーの利便性向上を目指すという公共性の高い事業に参画してみたいと感じました。現在のRubyエンジニアとしてのスキルをいかし、開発エンジニアとして設計から携わってみたいと感じ、貴社を志望致します。

ビジネスモデルに対して共感し、また自分なりにその業界について調べたことや意見を持っていることを伝えています。この事業に参画したいという強い意志が伝わる文章です。
 

良くない回答例3つ

<大手企業の介護職から、中小企業の介護職へ転職する場合>

貴社の「すべての人に、人の手の幸せを」という企業理念に共感し、志望いたしました。現在の職場では介護の過程において機械化された部分もありますが、私自身人の手で介護したいと思っております。確かに今後、介護業界では人手不足が予想されますが、機械化されないところこそ重要だと考えているため、貴社を志望しました。

企業理念に対し、自分がどうして共感したのか、どのような思いを抱いて仕事をしているのかが不明です。介護業界の将来についても触れていますが、機械化されないところこそ重要だと考える意味も書かれていないため、相手に納得感を与えることはできないでしょう。

<広告のコピーライターから、ゲームのシナリオライターへ転職する場合>

現在の会社では求人広告のコピーライターをしておりますが、自分自身非常にゲームが好きで、いつかゲームの制作に携わりたいと思っておりました。貴社のゲームをプレイするのも非常に好きで、以前から貴社で働きたいと思っておりましたが、求人を拝見した際に、ゲームシナリオの実務未経験者でも応募が可能ということでご応募差し上げました。貴社では広告のライターをしていたときの表現力をいかて働きたいです。

ゲームが好きだということは伝わりますが、あくまでもお客様目線で自分が働く際にどうしたいか、どういう貢献ができるのかを伝えられていません。

<中小IT企業のアプリの開発エンジニアから、ベンチャーIT企業のアプリ開発エンジニアへ転職する場合>

貴社の「職種に関係なくフラットに意見を言い合える社風」に惹かれて志望しました。現在はアプリの開発エンジニアとして働いていますが、間に営業担当やディレクターを挟むためユーザーとの距離が遠く、自分でアプリ改善や企画をしてみたいと感じていました。また、企画から携わることができるということで、多くのことが学べると感じ、貴社で働きたいと感じました。

同様の社風であれば他の会社でもいいのでは? と思う内容で、また会社に対して「学びたい」「教えてもらいたい」という姿勢が強く出ているため、他力本願な印象を受ける志望動機です。
 

まとめ

転職活動の中で、志望動機を伝えること、および考えることは非常に重要性の高いステップです。自分が何をしたいのか、どうなっていたいのかという自分軸を考えることと同時に、転職先が本当にここでいいのか、という企業軸を考えることにもなりますので、時間を割いてしっかり取り組んでください。