ダイバーシティが叫ばれるようになって久しい昨今。それでも、まだ女性が働きやすい環境が整っているとは言いがたい現状は、多くのかたが実感するところでしょう。結婚、出産、育児、介護などのライフイベントでキャリアを中断せざるを得ない、また一度仕事を離れると、なかなか復職が難しい……。その背景には、企業がダイバーシティの真のメリットを認識できていなかった、ということもあるのかもしれません。

女性活躍推進にすぐれた取り組みをする「なでしこ銘柄」の企業を見てみると、株価、業績ともに上場企業の平均を上回る数値を叩き出しています。また、投資判断においても、女性の活躍状況が重要な指標のひとつに。
女性活躍、ダイバーシティは、いまや「弱者救済」のためのものではなく、経営強化のために欠かせない取り組みとなっているのです。注目が集まる「なでしこ銘柄」について、おさらいしてみましょう。

 

「なでしこ銘柄」とは?

priscilla-du-preez-234138

 

経済産業省と東京証券取引所が共同で選定・発表をする「なでしこ銘柄」。女性活躍推進に取り組む企業に投資家の関心が寄せられることで、より一層、企業全体の人材戦略が加速していくように、という狙いのもと、2012年から毎年選出されています。

METI_x_JPX

2018年3月に選定されたのは48社。東証一部、東証二部、マザーズ、JASDAQに上場する約3,500社から、東京急行電鉄、KDDI、大和証券グループ本社、積水ハウスなどが選ばれました。

「なでしこ銘柄」と選定されるための要件は、女性活躍推進のための行動計画を策定していること。また、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」の「女性管理職比率」を開示していること。
この条件を満たした企業について、女性活躍度調査のスコアリング、財務指標(ROE)による加点を行い、なでしこ銘柄が絞り込まれていきます。

 

7つの指標で、女性活躍推進の“質”を向上

ただ、ここで気になるのが、「女性活躍」の推進度を測る物差しは、どのように定められているのか?ということ。表面的な対応に終始し、経営成果にまでつながる取り組みとなっていなければ、絵に描いた餅でしかありません。

そこで経済産業省では、ステージアップしたダイバーシティ経営の取り組みを“ダイバーシティ2.0”と定義。これからのダイバーシティは、多様な人材を雇用するだけにとどまらず、属性の違いを生かし、個々の人材の能力を最大限に引き出すことがポイント。そのための経営上の取り組みを、全社的、かつ継続的に進めていくこと目指します。
そして、その実践のために、具体的な7つのアクションが提示されました。

 

<ダイバーシティ2.0 行動ガイドライン - 実践のための7つのアクション>

____________________________2018-08-29_13.50.25

平成29年度「なでしこ銘柄」より

 

「なでしこ銘柄」の選定にあたっては、この7つのアクションそれぞれの実践状況、開示状況について調査が行われ、女性活躍推進を経営戦略として捉え、高い水準で取り組む企業が評価される仕組みとなっています。

 

続きを読む


「なでしこ銘柄」の市場価値に熱視線!

____________________________2018-08-29_13.51.34

女性活躍推進の取り組みが評価される「なでしこ銘柄」。その経営効果は、目に見える数字としてもあらわれています。
こちらは、平成29年度のなでしこ銘柄48社とのインデックス指数。TOPIXの推移と比較しても、その優位は明らかです。

このほか、売上高営業利益率(営業マージン)、総資産利益率(ROA)、投下資本利益率(ROIC)のすべてにおいて、なでしこ銘柄は東証一部銘柄の平均値よりも高い傾向が見られました。

____________________________2018-08-29_13.52.34 ____________________________2018-08-29_13.52.58

投資家からの注目が集まる「なでしこ銘柄」ですが、ワーカー目線で企業を見るときにも、「なでしこ銘柄」であることは大きな判断材料になるでしょう。見せかけだけのダイバーシティではなく、企業の付加価値として利益にもつながっている。多様な人材が働きやすく、それぞれの持ち場で能力を発揮することができる会社であることが、企業の力を底上げし、価値を高めることの証明となっているわけです。

Diversity100_prime

なでしこ銘柄に加え、平成29年度は、全社的・継続的にダイバーシティ経営に取り組む「トップオブザトップ」の企業を評価するため、「100選プライム」を新たに創設。カルビー、NTTデータの2社が選定されました。ワーカーにとっても企業価値をしっかりと見極める指標として、存在感を増していきそうです。