面接時には、想定していない質問が飛び出すことがあります。面接官にとっては、さまざまな理由から質問するのでしょうが、聞かれた側は驚いて返答に困ってしまうことも。冷静さを失って他の質問に対してもきちんと答えられなくなってしまった、という事態にならないために、対処法についてみていきましょう。
なぜ面接で「最近のニュース」を質問されるのか?質問の意図3つ
なぜ面接中に、突然「最近のニュース」について質問されるのでしょうか。大きな意図としては3つ挙げられます。
アイスブレイクのため
面接官は、なるべく普段の姿をみて、会社として採用するか判断したいと考えているのです。志望者が緊張し過ぎていると、よさを把握できない、人物像をうまく掴めないといったことになります。こうしたことから、誰でも知っていそうな話題を出して、リラックスしてもらい、面接がスムーズに運んでいくのです。
時事問題などにアンテナを張っているか、どのような感度を持っているか知るため
最近のニュースに関する質問は、いわゆる時事問題を多く含んでいます。そして、志望者がどのニュースを取り上げるかで、普段の関心事を把握することができるのです。たとえば、2019年10月より消費税が増税されました。このとき、飲食店経営をする会社ならば軽減税率についての話題を挙げることが、業界においてはスタンダードな話題といえるでしょう。他方、物販系の店舗経営の場合ならばキャッシュレス還元についての話題が中心になるでしょう。こうしたことから、ひとつのニュースという事実でも、そこから触れる話題をみれば、志望者自身のアンテナや感度を把握することができるのです。
時事問題などにどのような意見を持ち、その意見をどう伝える候補者なのか知るため
さらに、時事問題について、志望者自身の考えも求められます。どのような意見を持っているのか、そしてどう伝えるのか、伝え方などによっても、人柄などを掴むきっかけになるのです。
具体的には、待機児童についてのニュースについて取り上げたとします。このとき、待機児童数は減少しているから、この先よくなっていくでしょう、と短絡的に判断した意見では、保育園向けのサービスを提供している会社の場合は厳しいと判断されてしまうかもしれません。ニュースだけではなく、実際に保育園を通りかかった、身近な人の声を聞いたらニュースに出てくる数字とは違う問題があった、などと伝えることもできます。こうすることで、物事についてニュースなどを鵜呑みにせず、自分自身できちんと考えている、多方向から思考していると伝えることができるのです。
面接での「最近のニュース」質問への対策3つ
それでは、具体的に「最近のニュース」について質問が出てきた場合、どのようにしていくか対策をみていきましょう。
ニュースを選ぶ場所
話題となっている「最近のニュース」については、個々の興味関心から重要度が異なってきます。そのため、面接官が知っている「最近のニュース」を選択する必要があるのです。
選択するときの媒体として、インターネットからでも問題ありませんが、金融系の会社などを受けるときは「日本経済新聞」を日頃から読んでおき、大きく取り上げられているニュースを選ぶと好印象でしょう。なぜならば、新聞を購読する人は少なくなってきていますが、金融系に勤めている人は、日経を読むことが日常の一部となっています。そのため、日経で大きく取り上げられている話題を選べば、面接官も知っているニュースになるのです。
選んだほうがいいニュース
選んだ方がいいニュースとしては、その受けている会社の業界で大きな話題となったものがおすすめです。スポーツメーカーならば、ラグビーワールドカップがよいでしょうが、医療系ならばそもそも興味がない可能性もあります。子供関連の企業ならば、保育の無償化なども業界のニュースになるのです。
また、「最近のニュース」とはいつまでを指すのか疑問に思うかもしれません。これは基本的には1年以内のものがおすすめです。ビジネスは動きが早いため、2、3年も前のニュースでは、世の中のトレンドやニーズを把握できないのではないか、という不安を抱かせてしまうリスクがあります。
そして、自分の考えをしっかり伝えることができるニュースを選びましょう。大きなニュースでも、特に関心がなければ、考えなど浮かびません。ただし、台風など甚大な被害が出たなどの大きなニュースがあったときなど共通に経験した人が多かった場合、面接官から話題をふられる場合もあります。こうしたときに備えて、大きなニュースについて日頃からアンテナをはっておき、自分ならばどうだろう、業務とどう関連するだろうなど考えておくことをおすすめします。
選ばないほうがいいニュース
選ばないほうがいいニュースは、業務などに一切関連しないものです。先程のように、看護系の職種に応募しているにも関わらず、ラグビーワールドカップでは、面接官自体が興味のない場合、評価に困ってしまいます。
また、政治や宗教の話題は会社ではタブーといわれているくらい、避けられている題材です。そのため、「最近のニュース」として、例えば大きな選挙が実施され、その結果が出たといったニュースがあり、誰でも知っていると想定されるとしても、選ばないほうがいいとされています。
面接で最近のニュースを質問された時の回答例
実際に面接で「最近のニュース」について質問された場合、どのように答えるのがよいのか、具体例をみていきましょう。例えば、近年訪日外国人の数が急増しています。このニュースを取り上げる場合、どのように回答したらよいのでしょうか。
最近のニュースについて挙げる
「私が特に印象に残っている最近のニュースは、訪日外国人数が増加している、というものです。」と最初にニュースについてきちんと伝えます。こうすることで、面接官としては、どのような話題を選んだのか、それについてどう考えているのか、こういう意見だったならばこんな質問をしてみよう、などと想定することが可能となるのです。
意見を提示する
たとえば、決済サービスを提供する会社を志望していた場合、志望動機などと引きつけて、意見を提示するようにします。
「以前現金決済のみの店舗でアルバイトをしていたとき、日本円が足りず、購入できなかった外国人に諦めてもらったという残念な経験があります。もし、店舗でクレジットカードが利用できたならば、その外国人に購入してもらうことができたのです。消費税増税に伴いキャッシュレス還元などにより、クレジットカードを利用できるようになっているところが増えてきています。しかし、まだまだ現金決済のみの店舗も多く存在します。今後、訪日外国人に残念な思いをさせずに済むよう、キャッシュレス決済の普及に広く努めたいと思っております。」
こうすることで、志望動機と、意欲を示すことが可能となり、面接官の印象をよくすることが可能になります。
同じ話題でも伝え方で全く変わる
このとき、「訪日外国人数が増えてきているため、クレジットカード決済のニーズが増えることが予想され、導入する企業は多くなるでしょうから、業界は安泰ですね。」では、業務には引きつけていますが、経験や熱意を伝えることができません。
まとめ
「最近のニュース」を面接において質問することで、さまざまなことを見たいという面接官の意図があります。どうしてもそれぞれの人がそれぞれの興味や関心が中心になってしまうため、本当に志望しているのかどうかも判断できてしまうのです。業務や業界に関するニュースについては、日頃から興味関心を持ち、どうして?という視点で少しでも考える時間を作っておくと失敗しないで済むでしょう。