今回は「会社宛にかかってきた電話を取るときに、受け答えで気をつけるべきポイント」として、電話でのビジネスマナーをお伝えします。
会社のデスクにかかってくる電話は会社に所属している誰かへ宛てている電話であり、自分のクライアントや自分の知り合いだけではありません。ビジネスマナーを守って正しく対応しましょう。
電話を受ける時もかける時も、共通して気をつけること
声の大きさは、小さいよりも大きい方がいい
声は大きめに、小さくならないように心がけ、気持ち大きな声で話しましょう。声が小さくて聞こえないと、余計に時間がかかってしまったり、「すみません、聞こえないのですが」と聴き直す手間がかかったり、という展開になることも。
なるべく滑舌よく話す
滑舌が良いとは、舌のまわりが良いことを指します。電話は声だけでのコミュニケーションをするため、言葉だけで相手とのやり取りをしなければなりません。滑舌よく、相手が聞き取りやすく話しましょう。
アナウンサーや声優のように、声を商売道具として「声で、正確にわかりやすく伝える」仕事をしている人は、滑舌が悪くならないような練習をします。もしご自身の滑舌が良くないと自覚している人は、滑舌をよくするために姿勢を正したり、口をしっかり開くよう心がけましょう。
適切な速さで、早口にならないよう注意
早口になってしまうと、聞き取れないことがあります。自分は「伝えたつもり」になっても、相手が聞き取れず「伝わっていない」ことがあります。自分はオフィスや職場からかけていて、相手は騒がしい外で電話で受けている時など、様々な状況があります。
早口に畳み掛けるように喋ると聞き取りづらく、電話が長くなってしまうこともあるため、早口にならないよう気をつけます。
もちろん尊敬語・丁寧語・謙譲語を使う
ビジネスシーンでの電話応対です。正しい尊敬語と丁寧語を使いましょう。尊敬語と丁寧語を使わないと「失礼だ」という印象を与えて相手を不快にする可能性がありますが、相手が社内でも社外でも、尊敬語と丁寧語を使ってしまうことで「君、丁寧すぎるんじゃないかい」と相手を不快にすることはありません。
電話を受ける際のマナー7つ
3コール以内で
かかってきた電話は、なるべく3コール以内に取りましょう。会社によっては1コールで、など短く設定されている場合もあります。
電話に出てすぐに、部署名や名前などを名乗る
会社や部署によってルールが決まっていることもあるため、先輩や上司に確認します。ルールがない場合は、かかってきた電話を取るときには「お電話ありがとうございます。〇〇会社〇〇部〇〇です。」と伝えましょう。
電話の発信元を確認する
電話を取り、自分が名乗ると、相手が「□□社の□□ですけど」などと、相手も名乗ってくれます。これは「電話の発信元」なので、覚えられない場合はメモを取ります。
しかし、相手が名乗らずに急に要件を話し始めることも。その場合は、要件を聞き取った後に、「失礼ですが、御社名とお名前を頂戴してもよろしいですか?」と、電話の発信元を尋ねます。
電話の宛先と用件を確認する
かかってきた電話は、誰宛の電話なのか、取次先を尋ねましょう。その際、相手に指定された人物を復唱します。もし社外の電話相手に「△△部長さん、いる?」と自分より目上の部長を指定されたら、あなたはどのように復唱しますか?
A)「△△部長ですね」
B)「部長の△△ですね」
正解はBです。Aは敬称をつけた呼び方ですが、電話相手に対しては敬称をつけずに「部長の△△」と、社内の人間として表現して復唱します。
また、用件を一言で教えてもらいます。「部長の△△ですね、恐れ入りますが用件をお伺いしてもよろしいですか?」と伝えましょう。
電話の宛先が不在の際は、今後の対応を確認する
電話の宛先が不在の場合、不在である旨を伝えて、今後の対応を確認しましょう。この際に指定されるのは
・折り返し連絡をしてほしい
・折り返しの連絡はいりません
・折り返しの連絡はいりませんが、メールを送るので読んでほしい
・言付けを頼みたい(伝言)
などが考えられます。折り返しの連絡を指定されたら、相手の連絡先と、何時頃電話をかけたら相手に繋がりやすいかを質問します。相手がこれから会議に入る、外出する、18時には退勤してしまう、などの理由でこちらから折り返しても電話に出られないこともあるためです。
「折り返しの連絡はいりませんが、メールを送るので読んでほしい」、もしくは伝言を頼まれた際は内容を間違えずにメモをしておきましょう。さらに、電話の宛先が外出中、もしくは終日会社にいないなどの場合はメールなどで電話の宛先へ連絡すると、親切です。
取り次ぐ際は保留に
電話の宛先に取り次ぎ、電話の発信元と用件を伝え、電話機を保留にして、社内の音などが相手方へは聞こえないようにして取り次ぎましょう。
メモをとる
電話がかかってきたときにはメモをとりながら受け答えをします。自分では「覚えている」と思っていても、電話が終わった瞬間に別の人から話しかけられたり、自分宛の電話が取り次がれたりする可能性もあります。
電話を受けた時に話しながらメモを取り、情報を忘れないように書き留めておきましょう。
電話をかける際のマナー6つ
まず明るく挨拶をする
社外に電話をかける場合、繋がって開口一番にまず「いつもお世話になっております。」と挨拶をします。社内に電話をかける場合は「お疲れ様です。」と挨拶をします。
こちらの身分を名乗る
挨拶の後は、会社名・部署名・名前(苗字)を伝えます。相手が社外の場合は「株式会社Clarity、クラリティジャーナル編集部、倉利と申します。」のように、氏名ではなく自分の苗字のみを伝えましょう。珍しい社名や名前の方は、特に早口にならないよう、滑舌が悪くならないように心がけましょう。
社内の電話の場合は「クラリティジャーナル編集部の倉利です。」のように、部署と名を名乗りましょう。身分を名乗った後は、電話の宛先と用件を伝えます。
相手が社外の場合は「部長の△△様はいらっしゃいますか?今月出版の雑誌の件で質問がありご連絡を差し上げているのですが」など、宛先には様をつけ、用件は長くなりすぎないよう、しかし必要な情報を伝えます。
相手が社内の場合は「部長の△△さんはいらっしゃいますか?今月出版の雑誌の質問の件なのですが」など、社外に話すほどかしこまらなくてもさほど問題にはなりません。しかしビジネスの場なので、タメ口や、くだけすぎた言葉遣いにならないようにします。
時間帯に気をつける
電話をかける際の時間に気をつけましょう。午前中の場合は10時〜12時、午後は13時〜17時頃はビジネスアワーとして仕事をしている人の多い時間帯です。
電話をかけても取り次がれないことの多い時間帯もあります。早朝は出社していなかったり、朝礼や朝会で電話を取りづらかったり、12時〜13時などのお昼休憩で外出をしていたり、そして17時以降は退社に向けて仕事が忙しい時間帯です。
また、会社によっては就業時間帯以外の時間は自動音声になり、電話自体が繋がらないこともあります。
電話をかける前に用件をまとめる
電話は、かけるこちらが長く話すつもりでも、相手は時間がないこともあります。短く、わかりやすく端的に用件をまとめておきましょう。
電話の前後にメールなどで資料や内容を送付しておき、電話でその内容を確認し合う、など、電話を短く簡単に終えることのできる工夫をしてもいいでしょう。
電話をかけた後に内容を記録に残す
また、電話でのやり取りは「言った」「言っていない」という議論に発展することもあります。
電話で話をした後に、電話内容に応じて「先ほどは〇〇の内容でお電話をさせていただき、〇〇の納期について〇月〇日〇時でご了承いただきありがとうございました。」というような内容で話をした内容をメールで送信しておくなど、文章で残しておきましょう。
伝言を頼む場合は場合は簡潔に
先方が不在の場合、伝言してもらう事項は簡潔にしましょう。折り返しがほしい、メールに詳細を送るのでみてほしい、などです。内容を伝えてもらうのは、伝え間違いが起こるリスクがあるため、避けるべきとされています。
電話を切るのは、相手が切ってから
電話を切るとき、受話器をそのままガシャンと置くと相手に雑音を聞かせてしまうことがあり、印象が良くないとされています。こちらからかけた電話は、相手から切るのを待つのがベスト、という考え方を持っているビジネスパーソンは多いです。相手が切るのを待ちましょう。
まとめ
かかってくる電話を取り続けていると、先輩や上司の取引先や、仲がいい担当者、自部署と付き合いの深い取引先や他部署との関わりなどが見えてきます。自分がこれから覚える仕事の延長にあるものがわかるようになり始めます。
中には、今は先輩が担当している社外の取引先が、担当替えで自分が受け持つようになるようなこともあるでしょう。その時に電話応対で声を覚えていれば「ああ、あの時の」と、点と点が繋がることも。
また、営業電話の対応をする機会も増えるため、「このような電話のかけ方をしていたら、良くないな」と、自分の電話のかけ方の反面教師にすることもできます。
電話応対で学んで自分のビジネスマナーをランクアップさせ、さらに広がる複雑な仕事への準備を進めましょう。