売上を生み出す、会社の看板的な存在の営業職。そんな営業職に憧れて就職をしても「なかなかうまくいかない…」「もっと売れる営業になるにはどうしたらいいのだろう?」と、壁に当たってしまうこともあります。
営業職はコミュニケーション能力だけでなく、ヒアリングスキルや提案力などさまざまなスキルや経験が必要となる職種。難しい職種だからこそ、コツを押さえて的確・効率的に顧客へアプローチすることで、顧客に「買いたい」と思ってもらうことができるのです。
本記事では、営業職経験者が考える「営業のコツ」をお伝えします!
すぐに使える営業のコツ3つ
PDCAを回して営業プロセスや営業スタイルを改善していくことも大事ですが、「時間をかけずに手軽に実践できる営業のコツも知りたい」という方もいるでしょう。そこで、すぐに使える営業のコツを3つご紹介します。
数字で考える
日本の営業現場では「営業は数字が全て」と言われ続けてきました。この言葉だけ聞くと、数字=売上金だと思ってしまいがちですが、実はそうではありません。もちろん営業職は売上を作ることが大事な使命ですが、見るべきところは「売上=結果」だけではなく、「どんな営業をしてきたか=営業プロセス」も重要視しなければいけません。そして、数字を見ればその人の営業プロセスも分かるのです。
営業が見なければいけない数字は、主に以下のものがあります。
- 獲得リード(見込み客)数
電話、メール、展示会、セミナーなどで獲得した、まだ受注に至っていない見込み客の数 - 初回アポイント数
実際にリードを訪問して商談した回数(オンラインでの商談も含まれる) - 初回アポイント率
獲得したリードのうち、初回訪問に至った割合 - 訪問数
初回を含め、顧客に実際に会ってヒアリングや提案などの商談をした回数 - クロージング数(受注数)
顧客と受注(契約)に至った回数 - クロージング率(受注率)
商談のうち、受注に至った割合 - リピート率(継続率)
一度でも購入してくれた顧客が、再度購入してくれた割合
このような数値や割合を分析することで、どのような営業をしているのか、営業活動にボトルネックや課題はないのかが把握できるのです。
根性論や感情と数字を切り分けて考える
飛び込み営業などが主だった時代は、「営業は根性だ!気合だ!」などと言われていました。確かに以前は根性論だけで売れていましたが、現代の消費者はインターネットなどで手軽に情報を得ることができるようになっているため、購入プロセスが以前とは異なっており根性論が通じる時代ではありません。数字を分析して科学することが、現代の営業現場には求められているのです。
とはいえ、顧客に無理を言われたり、売れない日が続いたりすると、落ち込んだり悲観的になってしまったりすることも仕方ないので、根性や気合で乗り切らなければいけない場面もあるでしょう。しかしながら、それだけではモノが売れる時代ではなくなっていることを理解して、数字を切り離して考えることが重要です。
客観的に自分を確認して「自分ならば、自分に営業を受けた時にどう思うか、自分から購入したいか」という視点で自分の行動を確認し直す
営業職で仕事を続けていると、必ず「最近なかなか営業がうまくいかない…」と感じるタイミングを迎えるものです。そんな時は客観的な視点が大切。一旦立ち止まって、顧客への振る舞いや言動、営業スタイルなどを見直す時間を設けることがポイントです。
「自分が顧客の立場だった場合、自分自身から営業を受けて購入したいと思うか」という視点で見直し、何か課題や問題点がないかを確認しましょう。客観的に見直すためには、商談や訪問の際の会話を録音しておいたり、顧客との電話のあとはすぐに内容を記録したりすることが有効です。もしかしたら「メールの返信忘れが多い」「折り返しの電話をかけていない」など、社会人として基本的なことができていない場合もあるかもしれないので、メールや電話の履歴も見返してみましょう。
営業のコツを押さえる、具体的な営業プロセス8ステップ
ここからは、具体的な営業プロセスを見てみましょう。
営業ターゲットを明確にする
成果につながる営業をするためには、的確なターゲティングができていることが大前提。ニーズがない人に営業をしても、心に響かなかったり無駄足に終わったりして、コストや時間ばかりがかかってしまうからです。市場の中から顧客層をセグメンテーションし、どのセグメントに購入してもらいたいかをターゲティングしましょう。
しかし、一点注意が必要で、ニーズがないであろうセグメントをターゲットにしても潜在的なニーズが隠れている場合があるので、市場の成長性や商材の特徴などから見極める必要があります。
相手との距離感を測り、なるべく縮める
営業職はコミュニケーションが大事だと思う人が多いかもしれないですが、コミュニケーションを取りすぎると離れられてしまうこともあります。人によって程よい距離感の感じ方は異なるので、それを敏感に察知することがポイント。相手との適切な距離感を測りながらコミュニケーションを取り、相手にとって心地いいと感じる距離感で接しましょう。
ヒアリングに徹する
営業プロセスを細分化した時に、「提案」のひとつ前にある「ヒアリング」というプロセス。ヒアリングの目的は、顧客の情報を充分に得ること、そして顧客の理想や課題を探ることです。ヒアリングとは顧客の話を聞くだけではなく、顧客が抱えている課題や潜在的な悩みなどを掘り起こすことなので、このプロセスがきちんとできていなければ「良い提案」にもつながらず失注してしまう可能性が高くなってしまうでしょう。
自社の実績や既存の顧客との関係性を伝える
自社や商材について顧客に理解してもらう際には、実績や「第三者の声」が有効になります。たとえば、受賞履歴や利用者数推移。もしくは、すでに商材を導入している顧客の活用例や業務改善例などの実績を開示すると良いでしょう。信頼感が増すだけでなく、実際に導入した時のイメージも湧きやすくなります。
決裁者との関係を探る、決裁者とのミーティングを設定するよう試みる
商談で話している相手は「担当者」で、実際に購入や導入を決める決裁権がある人は別にいる場合もあります。担当者が購入に前向きなようなら、稟議が通りやすくなるようにサポートすることも営業職としての仕事。決裁者と担当者の関係性を聞き出し、可能であれば決裁者に直接プレゼンする機会を設けると良いでしょう。
クロージング
クロージングとは顧客と契約を結ぶこと。「商談では話が弾むのに、なかなか契約に至らない…」「顧客に“後日連絡します”と言われて、そのまま音沙汰がない…」という人は、クロージングができていない可能性があります。例えば、導入に際する課題やボトルネックとなっている部分を聞き出して解決してあげたり、具体的な導入スケジュールを提示してあげたりするなど、購入を後押しするような働きかけをしましょう。
クロージング後のケア
クロージングして終わりではなく、きちんと商品が納品されるまでサポートすることも大事です。そして、実際に納品されたら「何か問題はないか」「分からないことはないか」というヒアリングも行いましょう。
クロージング後の改善、調整
何か商品に問題があったり、使いこなせなかったりする場合は、商品の改善を開発部に提案したり、顧客にカスタマーサポートを繋いだりしましょう。よりよい商品は顧客満足度の向上にもつながりますし、顧客との信頼関係も構築できます。そこからクロスセルやアップセルの可能性もあるので、クロージング後も定期的にケアし続けましょうね。
まとめ
実際に営業職に携わると、常にうまくいくわけではないので悲観的になってしまうこともあります。そんな時は、数値で分析したり、今までの自分の営業活動を見直したりすることで、客観的に考え直すことができるでしょう。今回紹介した営業プロセスを、ご自分の営業の参考にしてみてくださいね。